2012年6月2日土曜日

静岡のギャラリー濱村で展示しています。

私の本業はバッグの製作ということになっています。
沖縄の姉が織った芭蕉布を使ってバッグや小物を作っています。
私としては、バッグを売るというよりも、
芭蕉布という布の良さを、分かってもらうための仕事をしているつもりです。

アトリエの名前は『芭蕉布こもれび工房』(HP:http://www.komorebikobo.com/
革や芭蕉布以外の布で作る場合は『こもれび工房』と称しています。

ここ2、3年は、なかなか難しい状況が続いきました。
不景気の波は、うちのような贅沢品を扱うところを直撃するんですね。トホホ。

たしかに芭蕉布は贅沢品です。
今時、自分の畑で植物を栽培して糸を作って、染めて、織って・・・・昔ながらの手順を踏んで作っている。
工程が半端じゃないぶん、お値段も半端じゃなく高額になります。
作っていて何ですが、私なんかには、とても出せない金額です。

そんなに高いくせに、着物の世界はいろいろ決まり事があるから、夏のほんの短い間しか着られません。
究極の贅沢品と言えるでしょう。


でも、芭蕉布は特別なんです。と言いたい。

一見すると芭蕉布は麻にそっくりです。
どちらも植物から作られます。生成りのカンジも似ています。
でも、もちろん違います。

麻は使っていくうちに(それが良いところでもありますが)クタッと柔らかくなります。
身体になじんでくるのです。

それに比べて芭蕉布は、いつまでもシャキッとハリを失わない。
ベタベタ身体にまとわりついてこない。
そして年をとるごとに、アメ色に変色していくのです。
その変色した色の味わいが、何ともいえません。
カッコイイ布です。

子どもの頃、我が家の裏と道を隔てたお隣には
一人暮らしのおばあさんが住んでいました。
背中が曲がって、歩くのもゆっくりだけど、一人で暮らしていました。
 ご主人や跡取りの息子が、戦争で亡くなっていたのです。

買い物やら力仕事だのの用事は、親戚の人が気を配っていましたが、
庭に少し野菜を作って、食事も洗濯も 自分でこなしていました。

そのおばあさんが二人とも、いつも芭蕉布を着ていたのです。
時々、シークァーサーの木の下に芭蕉布が干してありました。

年寄りの一人暮らしは、不安や寂しさに押しつぶされそうなこともあるだろうに
全然そんなそぶりは見せないで、いつも笑っていました。

そんなカッコイイおばあさんの笑い顔と一緒にあるのが
私にとっては、芭蕉布なんです。

 歳をとっても、一人でシャキッと生きていく、自立したおばあの着物。
カッコイイです。


我が家に残っている着物は、
私が生まれた年に亡くなったという祖母の織った芭蕉布で、
もう100年は経っているます。

普段に着ていたものだから、所々シミもあって見事にアメ色で
そして、今でもノリづけしたようにピンとしています。
羽織ると気持ちが前向きになります。

つくづく力のある布だと思います。

去年は、銀座のギャラリーで少し展示させてもらいました。

今年は、母の痴呆がすすんだり、
すぐ上の姉の体調が思わしくなかったり、
韓国の夫が松葉杖生活だったりという、
心配事のオンパレードになったので、展示会はあきらめていました。

それが突然、静岡のギャラリーから展示をさせて欲しいとオファーがあって
並べていただくことになりました。

5月31日スタートで6月6日までです。



ギャラリー濱村
画像の説明
静岡市葵区両替町2丁目3-1
http://www.hamamura.join-us.jp/
日時:2012年5月31日~6月5日
お問い合せ:PUMPKIN
Tel:054-261-4503
mail:erika0908@nifty.com
↓静岡駅からギャラリー濱村への行き方
http://atelierbebe.net/bebe/koten2010.htm

静岡で展示をするのは、初めてです。
ちょっと不安があったのも事実です。
急なお話だし、準備期間もないし、初めての方だし・・・

でも、企画の杉山さんにお会いしたら、不安がす〜〜っと消えました。
良いものを静岡の人に見て欲しい。
そんな意気込みが感じられて、こちらまで嬉しくなりました。
そういう人と仕事をするのは、楽しいものです。





5 件のコメント:

  1. 百年・・・!

    工房の名前がまたステキ〜(^ ^)

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  2. 百年・・・!

    工房の名前がまたステキ〜(^ ^)

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  3. 工房の名前ステキですよねぇ。所以を知ると尚更(*^^*)

    シークヮーサーの木の下に芭蕉布、そして沖縄の青い空!!おばあの笑顔(←空想中)。何だか異国な印象を受けましたが、春日さんの幼少の頃は日常的な風景だったのですね。芭蕉布の着物も沖縄では日常に根ざしたものだったのですか?

    話は変わりますが、沖縄の「おばあ」「おじい」って呼び方良いですよね。好きです。姉の旦那が沖縄出身で・・。

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  4. 初投稿させて頂きます(^ ^)

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  5. このコメントはブログの管理者によって削除されました。

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