2013年8月22日木曜日

母は私の兄の家にいます。
兄のことを沖縄ではニィニィ(兄々)とよぶので、以下ニィニィとさせてもらいます。

ニィニィは長男なので、ことのほか大事に育てられました。掃除洗濯炊事などの家事は一切免除されて、まあ、沖縄の男なんて、居間にデンと座って泡盛でもなめながらテレビでも見ていればいいんですよ、フン。

私が高校3年の秋だったか、大事な試験の前日に問題集と格闘していたら「清子、清子」とよぶので、ったく〜と舌打ちしながら「なに〜?」と部屋から出ていくと、ニィニィがテレビから目を離さず「灰皿持って来て」と言ったことがあって、寺内貫太郎ならここはちゃぶ台ひっくり返すところでしょ!と心の中でつぶやいたものですわ。

そんなニィニィに認知症の母親の面倒が見れるんだろうかと、けっこう心配でした。

でもね、上手にやっていて驚きます。

 

朝、いつまでもベッドから離れない母に、私が「お母さん、そろそろ起きようね。」と声をかけます。以前の母なら「ああ、もう朝ねえ?おはよう」と応えてくれたものでが、認知症が進んでしまった今はまるで違います。まず聞こえないふり(シカト?)。そうでなければ「起きない」とキッパリ不機嫌に答えます。昔から意思の強い人なので、そのへんは強く意思表示をするんですね、これが・・・う〜ん、デイサービスに出かける時間が〜(汗)


 「ニィニィ、どうする?」と焦る私。

するとニィニィは、母をのぞき込んで「ナア、8時ンカイ ナイビーンドー。ウキミソーレー。チャーグヮーウサガイミソーレー」と声をかけるのです。これはウチナーグチ(沖縄の言葉)で「もう8時になりますよ。起きて下さい。お茶を召し上がって下さい」という意味です。すると、あら不思議、母はスッと起き上がってテーブルに向うのです。

母はけっこう標準語の上手な人で、少なくとも私に話す時は常に標準語だったように思います。でも、やっぱり〜〜あたりまえだけど〜〜標準語は彼女にとっては借り物の言葉なんですね。

 ニイニイがウチナーグチで丁寧に話しかけると、母の表情が和らぐのです。
自分が大事に扱われている実感が湧くのでしょう。標準語まじりのウチナーグチ(私だって、それなら使える!)には、出来ない芸当です。

いいなあ。


そんなんだったら、私もウチナーグチを覚えたかったな。特に丁寧語を使えるようになりたかったな。日本語ならけっこういけるんだけどな。韓国語でも少しは丁寧に話せるのにな。生まれた土地の言葉が使えないなんてガッカリだあ!

お母さん、私にもウチナーグチで話しかけてくれればよかったのに!

と思っても、後の祭りです。


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