2014年2月4日火曜日

芭蕉糸作り

 月に一回、沖縄に帰っています。母の介護のためです。

1月は、母をデイサービスに見送ってから芭蕉畑に行きました。

 芭蕉畑には7千本ほどの芭蕉が育っていて圧巻です。15年前、最初に植えた苗木は10本だけでした。それが7千本です。芭蕉の生命力はハンパではありません。
 畑に分け入ると、前後左右360度芭蕉の木に囲まれます。見上げると、重なり合った芭蕉の葉が空をさえぎっていてね、風も通らない。世界から切り離された気分になります。

 今回は、倒すところから繊維を取り出すまで自力でやるのがテーマなので、5本だけ倒すことにしました。5本ならいけるだろうという甘い考えです(笑)。
 固い幹ではないので、鎌をあててスパッと切り倒していきます・・・というはずだったんですけどね、なかなかスパッとはいきません。ガシガシと鎌を打ちつけるようにして切り口を広げていくしかないカンジ。それでも、デンとした幹はなかなか傾いてくれません。
「この鎌やわなんじゃないの〜〜?」と毒づきながら姉を見ると、彼女は「そっちの方が良い鎌なんだよ〜〜」と言いながら、切り口も鮮やかにスパスパ倒しているではありませんか。ギャフン(古っ!)

 次に、幹の皮を一枚一枚剥いで、その剥いだ皮を表側と裏側に割いていきます。そして2枚に割いた皮の、繊維のついた方だけを持ち帰り、竃(かまど)で柔らかく煮ます。
 


 その後に今回のハイライト、難関の「ウービキ」です。これは、煮た皮から繊維を取り出す作業で、細い竹で作った道具(下の写真中央にあるトングのようなモノ)で不要物をこそぎ落としていきます。
写真手前が、煮た芭蕉の皮。これが幾工程か経て、向こう側の生成りの芭蕉糸になる。

 ウービキは、熟練の技が問われる作業です。道具をもつ指先の力が強すぎたり、角度が悪いと皮全体が切れてしまいます。逆に力の入れ方が弱かったり角度が悪いと、不要物を除ききれず、ドヨ〜〜〜ンと厚ぼったい繊維になります。最初のうちは、あらまあ、茶色に染めた芭蕉かしらってくらいの、不純物が残った繊維になっちゃって、本当にガッカリしました。

 シャッ、シャッと心地よい音をたてて、透明感のあるベージュ色の繊維をとっていく姉の横で、ズリ〜〜〜ッ、ズリ〜〜〜ッ、ブチッ(あ、これは繊維が切れた音ね)という私の音。あ〜〜あ、なんで5本も倒したんだろう。3本くらいにしときゃあよかったなあ。と後悔することしきりです。

 最初のころは「道具の持ち方はね」とか「両手の力の入れ方は」と、事細かに説明してくれた姉は、飽きたのか妹のトロサにイヤになったのか、無口になってきて・・・と思ったらいつのまにか自分用20本分を終えて、さっさと次の作業に移っています。
(えっ?手伝ってくれないんだ〜〜〜)

 で、5本分をですね、その日のうちに終わらせることができずに、翌日の午前中かけて終わらせました。翌日の夕方には、東京行きの飛行機に乗らなくてはいけなかったので、まあ、焦った焦った。

 でも、とにかく自力でやったので、満足感はありましたね。
できた繊維も最初の頃は、こんなカンジで情けなかった(ピントがあってないのも情けない)けれど、最後のあたりにはこんなカンジ。
 まあ、我ながら進歩したもんだと思いますよ。
もちろん、姉の作るモノの足もとにも及ばないんですけどね。
でも、どんな人だって、はじめは初心者だったわけですからね〜〜〜。

よし、2月は、8本くらい倒してみよう。
ガンバレ、ワタシ!


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